Style: Chapter1 Causes

1章はなぜ世にbad writingがはびこったかという原因(Causes)について説明しています。ひとつは、歴史的・文化的背景のもとづくもの、もうひとつは個人的な原因です。今日は歴史的原因についてまとめます(著者はOrigins of the English Languageという本も書いています)。

英語が大きな影響を受けた2つの歴史的事実があります。ひとつは1066年のノルマン人の英国征服(Norman conquest)、そしてもうひとつがルネッサンスです。これらの歴史的な影響により英語にフランス語、ギリシャ語、ラテン語が取りこまれることになります。

英国はそれまでアングロ・サクソンの言葉(古英語)が使われてきたのですが、ノルマン征服によって公式文書はフランス語になってしまいます。ここで庶民の英語と支配者層のフランス語という言語の二重構造ができあがりました。16世紀になってフランスの支配はなくなるのですが、それ以降も英語の中にフランス語の影響が残ることになります。

ルネッサンスではギリシャ語とラテン語の大量の文章が英語に翻訳されました。このとき、英語に翻訳できない外来語は英語化されて取りこまれていきました。そこで、アカデミックな用語や美術用語には多くのラテン語を語源とする言葉が多いというわけです。

本題に戻って、これがなぜbad writingにつながるかというと、これらによってもたらされたのは外来語だけではなく、あいまいで、抽象的で、必要以上に誇張した、悪いスタイルも同時に取りこまれてしまったからです。そして、そのスタイルは、科学、医学、法学などのアカデミックな分野にいまでも色濃く残っています。

参考: ワンポイント英語史