技術書を原書で読むメリット(2)

用語が統一されている。当たり前のことですが、このことが非常に重要だと思っています。原語が英語の概念の場合、日本語になると訳者によって微妙なブレが生じます。例えば、インターフェイスとインタフェース。これは英語の音を日本語に変えるときのブレです。これはうっとうしいですが、まだ原語を想像できるだけマシです。

酷いのは漢字に変換される場合です。例えば、deployment。これは配備、配置、展開、デプロイ、デプロイメントのように訳者によって選択する語が異なります。deploymentは「戦闘配備につけ!」の配備ですから、訳語としては配備が適当のように思います。でも、問題はdeployerのような場合にどうするかです。配備者、それとも配備人? 読者は配備とデプロイヤが同じ"deploy"に基づく語であることを簡単に想像できるでしょうか。

英語で技術書を読む限りは、このような用語の混乱はありません。このような混乱はJ2EEのような比較的新しい領域では仕方ないともいえますが、問題はコンピュータの技術は、欧米が発信元のことが多く、かつ変化が激しいので、常にこのような混乱がつきまとっているということです。

deployment -> 配備という変換が必要なのは、日本人同士のコミュニケーションにおいてだけです。個人で技術習得のために本を読むのであれば、その用語の変換は本のコンテンツの理解を妨げるだけなのでかえって邪魔になります。"deploy", "deployment", "deployer"のままでいいじゃないですか。

10年以上前、inheritanceを「遺産」と訳してあった技術書を読んで愕然としました。そんな本を読むのは本当に時間の無駄です。