JJBugリストラ案

まず、JJBugの活動の目的を再確認にしたいと思います。ユーザ会の本来の目的はユーザ主体の活動であるはずです。ユーザ間での情報交換やユーザ事例の発表など。JBoss User Group(JBUG)の場合はJBoss.orgの開発者を招いて技術セミナーを開くなど。

JJBugが他国のJBugと違うのは設立当初から「日本語ドキュメントの充実」が求められていたことです。ここが決定的に違います。ちょっと、JJBugでの取り組みを振り返ってみましょう。

普通のユーザは自分から進んでJBossのドキュメントを書いて公開はしません。だから、JBoss勉強会を開催し、その発表資料を蓄積していくことでJJBug WikiJBossのドキュメント資料を集めることにしました。GoogleJBossのドキュメントを検索するとJJBugのサイトに行き着く。個人的はそこが一つの目標でした。

翻訳については自分の予想以上に要望が多く驚きました。勉強会の発表希望者は少ないですが、翻訳に手をあげる人は意外に多かったのです。翻訳は個人的にはそれほど強い興味は無いのですが、JBossを開発者に普及させるためには絶対に欠かせないものです。開発リーダだけ英語ドキュメントが読めても仕方ありません。チーム開発では日本語ドキュメントが無いという時点でJBossの採用は難しくなってしまうからです。

しかし、現在では、日本国内でJBossを普及させるためにドキュメントを提供するという役割はJJBugだけが担うべきものではないでしょう。JJBugができたのはRed HatJBossを買収する前です。Red Hat K.K. や他のパートナー企業もJBossの日本語情報を提供していますし、翻訳について言えばJJBugを通さずとも翻訳を希望する個人がJBoss.orgともっと密にやっていけばよいと思います(SeamJBoss ASなど翻訳を受けいれる体制が出来つつあります)。個人が横連携をせずに個別に翻訳をコントリビュートすれば、用語やスタイルの不統一の問題が出てくるのは明白です。でも、それは本来JJBugがなすべき仕事でしょうか?

そろそろJJBugを本来のユーザ会の姿に戻す時期に来たと思います。

インフラの問題もあります。SourceForge.jp上で翻訳・ローカライズをするのは正しい姿ですが、そのML上で企業セミナーの案内やビジネスのメールを出すのはOSS開発の無償基盤を提供しているSourceForge上ではマナー違反だと思います。でも、JBossユーザはそういうビジネス寄りの情報も求めていると思います。過去なんどもMLにセミナー情報を流してもよいかという問合せを個人的に受けています。もうそういう問合せに一々答えていくこと自体が本当にウンザリです。すでに、ユーザ会としてのJJBugの基盤として堅苦しくなってしまっているのであればインフラを変えるべきです。

以上から、ユーザ会としてのJJBugの活動と、翻訳・ローカライズ主体のSourceForge上の活動を別々のインフラに分離したいと思います。その上で、JJBugの方は企業ユーザも含め、もっともっと自由に活動をすべきだと思います。

まだ考え中ですが次のようなことをやりたいと思っています。

  • JJBugはメンバーMLはSourceForge.jpから別のインフラへ移す(候補:Google Group)。用途は勉強会やイベントのアナウンス
  • SourceForge.jpのJapan JBUGプロジェクトはJBoss.orgにコントリビュートする活動を支援するものとし、JBoss.orgにコミットする前の開発環境を提供する
    • 現在のJJBug WikiSourceForge.jpWikiへ完全移行し、Wikiには開発主体の情報を掲載する。
    • JJBug運営スタッフMLは廃止する
    • JBoss, Seam MLはGoogle Groupへ移行し、それぞれ独立したテクニカルなML・コミュニティとして活動する

上のようにしたい理由を書きます。

SourceForge.jpのJapan JBUGプロジェクトは、日本からJBoss.orgへの翻訳等のコントリビュートが順調にいくために一時的に提供するものであり、いずれは役割を終えた時点でクローズします。むしろ、ユーザ会ではなくJBoss.orgの下部組織としてその位置付けを見直す必要があるでしょう。

3年前に比べて周囲の状況も変りました。JJBug Wikiにドキュメントを集めるのではなく、個人単位でのブログ、あるいは企業単位でのブログを通してタイムリーにJBoss情報を提供していく、あるいはTwitterのような別の手段を使って、より気軽に情報を提供するというのが今風のやり方でしょう。

Wikiを整備していくのはとても時間と根気が要る作業です。それはWikiを立てていれば自然と情報が増えていくというものではなく、明確な意図を持った人が書き込みを続けていくことによってのみ充実していきます。JJBug WikiWikiは立てたたものの思ったようには書き込みは増えませんでした。思えば、苦労して調べたことをJJBug Wikiに書くのではなく、自分のブログに書くのが自然というものです。もうJJBug Wikiの役割は終わりました。

SeamのようなフレームワークJBossアプリケーションサーバーに依存するものではありません。Web BeansはJava EE 6の一部になるので、さらにその傾向は強くなります。SeamFramework.orgはJBoss.orgとは別のサイトを立てているように、日本でもJJBugからは独立したコミュニティにした方が活動しやすいと考えています。中国ではSeamFramework.chというサイトが登場しました。このようなやり方も一つでしょう。

もちろん一番大事なのはインフラではなく「人」です。新しいJJBugJBossに興味があるより広いユーザを対象とし、個別の技術コミュニティは特定の領域に特化した活動をする。個別のコミュニティはそれぞれリーダを立てて小回りの効く運用をする。そうなっていけば良いと思います。