技術書を原書で読むメリット

著者にメールできるっていうのはどうでしょう。シェークスピアのような古典では不可能ですが、コンピュータの技術書なら著者は同時代を生きている生身の人間のはずです。しかも、今の時代、多くの著者が自分でblogを書いています。

たとえば、翻訳を読んで間違いを見つけたとしましょう。あるいはもっとすばらしいアイディアを思いついたので著者に知らせたいとしましょう(ここでは翻訳の間違いではなく内容についてのコメントだとします)。Manning.comのように掲示板で著者と意見交換というのも今風で良いですね。

原書の著者は当然日本語の翻訳を読んでませんので、あなたは翻訳の該当箇所を英語に再構築して説明しようとします。しかし、原文を引用したくても原文が手元にありません。訳語表がないので技術用語も英語で何ていうかもわかりません。結局、悩んだあげく原書を買うことになります。

実は、原書の著者はすでに半年前にその本の改訂版を出版していて、それにはあなたがこれから指摘しようとしている新しいアイディアがすでに盛り込まれています。あなたの読んでいる翻訳は第1版で、原書の最新版は第3版だからです。この衝撃の事実は第3版の原書を買って初めて知ることになります。

翻訳は著者から読者への一方向のコミュニケーションしか仮定していません。大好きな著者にファンレターが書けるようになりたい。著者と同じ人間として同時代を生きる。そのためには原書を読むしかないじゃないですか。そういうものに、私はなりたい(宮沢賢治風で)。